阪急6300系の苦難 その3

きりん

2007年07月17日 19:06

 前回からのつづきです。



 JR西日本の高速攻撃に阪急京都線の特急は大ダメージを喰らいました。

 大阪−京都の都市間輸送では太刀打ちできないので、途中駅の利便性を重視するようになります。
 2001年から特急の停車駅を増やし、10分間隔で運転することとなりました。

 それまで15分間隔、一時期は20分間隔で走っていた特急ですが、10分間隔になると特急用車両が足りません。不足分は3扉ロングシートの一般車両で補いました。



 2003年になってやっと新型の特急用車両、9300系が1編成完成。
 2005年までに特急に必要な数の編成はなんとか揃いました。


 9300系はクロスシートながら3扉の車両になりました。停車駅が増えると、乗降に時間のかかる2扉車は不利だからです。

 JRの新快速は全て3扉のクロスシート車に切り替わっています。
 また、テレビカーや2階建て電車など、阪急とは違った形の豪華さを誇る京阪の特急も一部に3扉クロスシート車を走らせています。

 6300系もデビューから30年も経つので、新型特急と世代交代する時期がとっくに来てはいるのですが、なかなかそうはならない。


 以下の文章には多分に私の憶測が入っていますので、そのつもりでお読みください。



 前の特急用電車、2800系は6300系の登場と入れ替わりに3扉ロングシートに改造されました。
 しかし扉を追加したことで車体の老朽化が早かったのでした。それゆえ6300系の3扉改造に二の足を踏んでいるのかもしれません。

 でももし3扉化しても、6300系は車端の扉の位置が他の3扉車と違うので、運用が扱いにくくなると思われます。

 言うなれば、潰しのきかない電車なのです。それなら最後まで2扉で特急用として使いきって、それから新車に交換…、と考えられているのではないでしょうか。

 また、新型車両を造ろうにも、阪急という会社は多額の負債を抱えている企業なので、簡単に新車を買える状況ではないようです。
 他に車歴が40年を越える電車がごろごろしているのに、それを差し置いて特急電車を優先させるわけにはいかないのでしょう。



 そして迎えた2007年3月のダイヤ改正。停車駅はさらに増え、6300系がデビューした頃の急行列車なみになりました。

 とはいえ阪急京都線の特急といえばクロスシートが最大のステータス。
 3扉になったのは現状としては止むを得ないところですが、それでもクロスシートならば京都線特急の面目も保てるし、ライバル路線の列車とも勝負できると思います。


 ところが、


 フタを開けてみると、なぜか6300系の運転は減り、3扉ロングシートの特急が増えたのです。

 それも、乗降時間を少しでも減らしたい朝夕のラッシュ時は乗降時間のかかる6300系が多く使われて、乗降客は少ないけれど行楽客が見込め、ゆったり座って行きたい土休日には運転が少ない、という状態になっています。





 運用の減った6300系のうち2編成は休車という扱いとなり、桂の車庫でじっと沈黙しています。

 休車とは、「この車両を使わなくても数は間に合うから休ませておけ」ということらしいです。

 その後は、そのまま使われることなく廃車になったり、
 休車にしておくと車検の時期を延ばせるので、現在使用中の車両の車検が切れたら復活して、代わりに車検切れのの車両が休車や廃車になったり、
 あるいはまたダイヤ改正が行われて、6300系の運用が増えて復帰することも無いとはいえない。
 素人では予測できない状況に置かれています。




 阪急の花形電車としてスタートした6300系でしたが、時流の変化に翻弄され、いつの間にか「混雑する電車」と非難される存在となってしまいました。一ファンとしては悲しいことです。



 今後の6300系の復権を期待しつつ、復権しなくても今しばらくの活躍を望みながら、とりあえずこの項目を閉めたいと思います。


 ファニー : きりんはこのでんしゃによく乗せてくれるのニャ。

 でもファニーは “いせしまライニャー” のほうが好きニャ。

 にゃんて、きりんにはナイショにしたほうがいいかニャ?。




 by きりん


 2年後に続きます


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